大学発教育支援コンソーシアム Consortium for Renovating Education of the Future (CoREF)

参加機関・大学

お茶の水女子大学

お茶の水女子大学コンソーシアムサイト:
http://www.cf.ocha.ac.jp/sec/projects/conso/

小学校現職教員の観察・実験力を養成することを目的として、その手法を開発し、教員研修の実施や、科目間連携を意識したコンテンツ開発を行ってきました。また、中高レベルにおいては、生きた生物や生活体験を身近に観察できる教材を開発し、理科のみならず生命を尊ぶ姿勢を学べるカリキュラムを作成・実施しました。今後は、これまでの取組みを引き続き実施すると共に、「理科自由研究データベース」のウェブサイト解説・運営に向けた取り組みを行います。

平成21年度の取組み

現在の教員養成の理科カリキュラムにおいて、観察・実験スキルは重視されていません。そこで、教員の観察力・実験力を養成する目的で「(1)ウニのポケット飼育法教材」「(2)教科間融合教材」のコンテンツを開発・実施しました。

(1)ウニのポケット飼育法

生物の発生の手軽・安価な材料としてウニは従来から用いられておりますが、教育コンテンツとして考えた場合、実施場所が臨海実験所等に限られる等、従来法では制約があります。そこで「臨海実験所から日本全国に発送でき」「生徒一人一人が所有していつでも観察できる」教材として、「ウニポケット飼育法」コンテンツを開発・改良しました。 具体的には、通年でウニを全国各地に発送できるシステムを開発実施し、さらに、ウニ本体ではなく採取した精子・卵子を新鮮な状態で発送して、より多くの学校に提供できるシステムを試行的に開発実施しました。中学校・高等学校を対象に、平成21年度は18校の2104名(平成20年度は14校の1782名)が本教材を体験しました。個々の生徒が自分自身のウニを育てるということで愛着を持ち、受精・発生に興味を持てるようになりました。現在、発生成功率は3分1程度ですが、このことにより生き物を育てる難しさや道徳観をも伝えることができたと考えています。

(2)身近な感覚を科学で解き明かす~冷たく感じる体のしくみ~

食材を用いた化学・生物学・生活科学(家庭科)の融合教材の開発を行いました。市販されている2種類の飴を用いて、吸熱反応によって実際に温度が下がるものと、温度は下がらないが冷たく感じるものがあることを、自分の体と温度測定等の実験によって記録させ、身近なものと理科のつながりを意識させるコンテンツを開発しました。 具体的には、1時限(50分)で実施できるプログラムとしてパッケージを作成・開発し、中学校で実施しました。東京都文京区立中学校7校の359名を対象に、本授業を実施しました。飴を水に溶かして溶解するときの温度を測定する、という実験では、ほとんどの班で成功の結果を得ることができました。授業前後でアンケートを実施し、「理科の授業では、自分で進んで学習に参加している(参加した)」「理科の授業では、自分なりに考える活動ができている(できた)」の項目において「大変そう思う」との回答が倍増するなど、大変好評を得ました。また他のカリキュラムに比べ「理科の勉強は生活の役に立つと思う」の項目において回答値が実施後に増加したことから、「理科と生徒自身の生活との係わり合いを理解させる」カリキュラムとしての高い効果を示すことができました。

平成22年度の取組み

教員の観察力・実験力の養成ならびに授業実施の支援システム作りの目的で、「(1)理系社会人の、小・中学校理科教育現場への派遣システム構築と実施~理科支援員養成~」「(2)科目間連携を考慮した教員研修~自由研究データベースの構築~」「(3)ウニのポケット飼育法・教員研修~ "生きた教材"の発送システム構築~」を実施しました。

(1)理系社会人の、理科教育現場への派遣システム構築と実施~理科支援員養成

主婦や企業人が小学校・中学校の教員と緊密に連携して理科教育を改善できるように、社会人の再教育、養成した人材の理科教育現場への派遣斡旋、派遣効果測定システムの開発と実施を行いました。 具体的には、"理科支援員"として小学校の正規理科授業を補佐できるよう、以下の再教育プログラムを開発実施しました。プログラムは「学校リテラシー(90分×3)」「理科実験(90分×6)」の2科目としました。また、教育委員会と連携し協働して理科支援員の採用・研修・メーリングリスト構築を行うなど、派遣システムを開発実施しました。さらに、理科支援員を配置した小学校に回答を求めるアンケート調査を試行的に実施しました。主婦・企業人・退職技術者等を対象としてプログラムを2回実施し、1回目は27名、2回目は24名が受講しました。受講者へのアンケート調査から、科目「学校リテラシー」を初日に行った回の方が、プログラム全体の理解度、満足度が高い傾向が見られました。受講者のうち4名は、既に自治体の理科支援員として平成23年度の着任が内定しています。試行的に実施した小学校へのアンケート調査では、理科支援員配置が現場教員と児童にもたらす効果を測定できる可能性が高いことを示すことができました。

(2)科目間連携を考慮した教員研修~自由研究データベースの構築

コンクールで賞を獲った子供の自由研究作品を検索できるシステムは存在しません。検索システムにより、類似した先行研究を確認したり研究方法を参考にしたりすることができるため、子供やその指導者にとって自由研究の敷居を大きく下げ、自由研究の実施状況を劇的に改善することが期待できます。そこで理科自由研究検索システムを開発・構築しました。 具体的には、全文検索、複合検索、キーワード検索等を実装したウェブ上の検索システムを構築しました。3コンクール団体の作品約1700件をデータベース登録しました。さらに、子供が理科自由研究を実施する際にサポートとなる情報を掲載し、システムの骨格を構築しました。このシステム上で、様々な検索語を用いて検索を行い、1700件の作品から該当する作品が適切に、かつ瞬時(1秒以内)に抽出・表示されることを確認しました。学校教員や教育関係者を対象とした紹介イベントを行い、「授業に直ちに利用できる」など有益な感想・助言を得ました。来年度のウェブ公開に向け、システムの基礎部分を完成させることができました。

(3)ウニのポケット飼育法・教員研修~"生きた教材"の発送システム構築

生物の発生の手軽・安価な材料としてウニは従来から用いられていますが、教育コンテンツとして考えた場合、実施場所が臨海実験所等に限られる等、従来法では制約があります。そこで「臨海実験所から日本全国に発送でき」「生徒一人一人が所有していつでも観察できる」教材として、「ウニポケット飼育法」コンテンツを開発・改良しました。 具体的には、通年でウニを全国各地に発送できるシステムを開発実施しました。ポケット飼育のマニュアルを分かりやすく改良し、さらに、採取した精子・卵子を1週間以上、実験に使える新鮮な状態に保存する方法を開発することで、ウニ本体を送るよりもはるかに簡便に、より多くの学校に提供できるシステムを試行的に実施しました。初めての教員も不安なく実施できるように、希望者には臨海実験所での事前研修を行いました。今年度は、ポケット飼育法を体験したのは16校の2710名で、個々の生徒が自分自身のウニを育てるということで愛着を持ち、受精・発生に興味を持てるようになりました。卵と精子の送付により受精実験を行った生徒は38校の5219名にのぼります。教員は事前の準備に時間をかけることなく、生徒に実際の受精の様子を観察させることができると、好評でした。提供先は関東近辺にとどまらず九州の中学校やフランスの日本人学校も含まれます。

平成23年度の取組み

(1)自由研究推進を目指した指導支援システム

小・中学校現職教員の理科自由研究やその指導を支援するため、「理科自由研究データベース」を開発・公開します。

(2)理系社会人の、小・中学校理科教育現場への派遣システム構築と実施

主婦や企業人が小学校・中学校の教員と緊密に連携して理科教育を改善できるように、社会人の再教育、養成した人材の理科教育現場への派遣斡旋、派遣効果測定システムの開発と実施を行います。

(3)ウニのポケット飼育法・教員研修

お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターにて、生きたウニ胚の発生過程を身近に観察できるウニのポケット飼育法・教員研修を実施し、教育現場での実践を支援します。理科のみならず生命を尊ぶ姿勢をも育てるカリキュラムを引き続き改良・実施し、より多くの中学・高校にて成功実績を積み上げます。

PAGETOP